「島根・石見銀山の阿弥陀様 門徒の思いとともに成田へ」     


(2007年5月23日成田エリア新聞)



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330年の歴史を受け継いだ純心寺


 15日(火)、成田市加良部の純心寺(曽我弘章住職)で本尊・阿弥陀如来像の遷座式と本堂
の落成式が行われた。

 この阿弥陀如来像は、島根県石見銀山のふもとに330年の歴史を持つ浄土真宗・光蓮寺
の本尊として祀られていたもの。このたび光蓮寺の廃寺に伴い、今年2月に開山したばかりの
純心寺に遷座されることになった。取り持ったのは富里市在住の島田秋子さんだ。

 島田さんの実家は光蓮寺のお隣。5年前に93歳になる母親の渡井ヒサコさんが島根から島
田さんの住む富里にやってきた。幼いときから光蓮寺の日曜学校に通っていたヒサコさんは富
里に浄土真宗のお寺がないことを寂しがっていた。島田さんとヒサコさんにとって光蓮寺は毎
日の遊び場でもあり、夏休みには子供たちが集まって一緒に宿題をしたりもした思い出の寺。

 そんな中、2年前に純心寺の前身である浄土真宗の布教所が日吉台にある島田さんの店
「だんごのさくらや」の近くに開山した。ヒサコさんは「阿弥陀様が私のためにお寺を作ってくれ
た」と大変喜んだという。ところが布教所には住職個人所有の小さな本尊しかなかった。それを
知った島田さんが、近くの寺に預けられたままになったいた光蓮寺の本尊を遷座することを提
案した。

 光蓮寺の門徒たちは14日、最後の勤行をし、最初で最後阿弥陀如来像に触れてお別れを
した後、60歳代から70歳代までの15人が像と一緒にバスで島根を出発、14時間半かけて
約千kmの道のりを旅し、15日朝6時に成田に着いた。

 遷座式は築地本願寺の代表者松原功人氏立会いのもと、約70名が参列し行われた。曽我
住職は今回の本尊の旅を、仏教伝来のシルクロードの旅に重ね、光蓮寺に深い感謝の意を
表した。それを受けてあいさつにたった光蓮寺門徒総代の広山勝秀さんが「はるばるこの地ま
でやってきて、感慨ひとしお。光蓮寺の名は沈むとも・・・」と言葉をつまらせる場面もあり、門徒
たちもハンカチで目頭を押さえた。寂しさと安堵、複雑な思いだったという。渡井さんは純心寺
を代表し、「生まれ育った村から阿弥陀如来が来てくださった。夢のよう。私は本当に幸せ者で
す」とあいさつ、新地で空洞におさまった阿弥陀様がそんな信徒たちを優しく見下ろしていた。

 ※石見銀山は平成19年7月に世界遺産に登録されました。





浄土真宗本願寺派  純心寺 (西本願寺)

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